2010年4月25日日曜日

因果関係を計算するのが計画


 目標を達成するコツは、因果関係も含めて結果から逆算することです。逆算なしに熱意だけで目標達成に向かっていこうというのは論外です。

なぜ論外かというと再現性がない。成功しても同じことが繰り返しできない。繰り返せない理由は、精神的な疲労感が強いので翌月には気力が落ちてしまうこと。
やる気は気分ですから成功してもその理由が説明できないので、同じことが繰り返せません。言葉で説明できないとは「わからない」ということです。結局、人が育ちません。

言葉は考えそのものです。人を育てるには、言葉による説明なしにはできません。また人を育てるとはある意味では自分の分身、コピーを作るところから始まります。やがて意識がしっかりしてくると主体性を持つようになり、自分づくりが始まり独自性も芽生えてきますが、最初の一歩であるコピーが本当の意味で作れません。やる気だけは真似することはできて、その範囲で成長しますが、説明できないようではマネジメントができません。

なぜなら、実務とはやる気だけでは続かない合理的なものだからです。当事者本人が無意識であっても人間の行動にはすべて理由があります。その理由に向けて対策と販売促進があります。やる気だけでは対処できないのです。

因果関係を計算するとは、自分自身、お客さま、部下を三位一体としてバランスをとっていくことです。自分自身が鉄の心を持っているわけでなく集中できるときもあれば、そうでないときもある存在だからです。すべての始まりはそこにあります。

指揮官である自分の弱さを計算していない計画は、机上の空論でしかなく計画になることはありません。
どうすれば自分の意欲が継続できるのか、部下の意欲は継続できるのか、お客さまの購買意欲は引き出せるのか、3者のどこかに「考えていない状態」があれば、その分だけ売上は落ちます。人間は考えていないことは行動できないからです。売る側が売ることを考えていても、買う側が買うことを考えていないと売れません。買う側が買うことを考えないと、やがて売る側も考えなくなります。私たちはいつも協働と共働しているのであって、協働と共働なしに成功はありません。協働とは同じ目的のために、協力して働くこと。共働とは生じた現象が互いに影響を及ぼし合うことです。

考えている状態を作る・・・・マネジャーがクリアする重要な課題です。
まずマネジャー自身がその関係性の一部であり、就労中は意識が切れないようになっていないとお客さま、部下の意識は低下します。低下した分だけ全体の力が低下してしまい、自分の意欲に悪影響を与えます。自分を苦境に立たせないように因果関係に注目してバランスをよくするようにします。

■結果から逆算する

結果から逆算するには、結果が分かっていないとできません。ですから経験がものを言います。成功例、失敗例があると、うまくいく方法を見つけ出しやすくなります。

ところが現実には経験者なのに逆算できない人がいる一方、未経験者なのに逆算できる人がいます。原因は「逆算の必要性」を知っていて、実行していることです。未経験なら聴けばいいし、仮説を使えば、経験不足を補うこともできます。さらに逆算を有効にするのが因果関係を計算することです。

因果関係を計算するとは、共働を考えるようにします。生じた現象が互いに影響を及ぼし合うので、よい影響を引き出すように、関係を考慮して順番に計画していきます。逆算とは山道にエスカレーターを設置するようなものです。問題が出ないように事前に撲滅しておくからです。またプロセスで問題が生じても対策を準備してあるので問題を乗り越えることができるからです。逆算していない計画とは絵に描いたモチでしかありません。

逆算するには、結果を知っている必要があります。誰にとっても逆算は、手持ちの情報がすべてです。「知っていること、できることだけ」では限界があります。不足を補うのが、情報の追加と仮説です。
以前、やったことがあるが、こういう問題が起こって、こういう対策をして乗り越えたというような成功例、失敗例、つまり手持ちの情報が豊富であるほどうまくいく方法の発見が容易になります。その点で「経験」が効果を発揮します。経験が不足する場合には、聞くことと仮説が力を発揮します。

仮説は想像ではありません。思いつきでもありません。仮説とは自分が持っている情報を使って逆算する力です。あらゆる結果を予測して、どんな原因があれば
そういう結果になるかを導き出す<因果関係>を計算する力です。共働の影響と優先順位を発見するようにします。どうすれば原因を撲滅できるか、準備する力が良い影響を引き出します。

重点商品を売る因果関係について、一時的な表面的な関係だけでも次のものがあります。

・売れる売り方(お客さまが欲しいと思うレベル)
・売れるスケジュール
・売れる人材=意欲と技術
・売れるお客さま(考えてくれているお客さまを作る)
・売れる準備
・売れる自分のマネジメント

これを掘り下げていきますが、無数の問題が浮かびあがります。「真実は細部に宿る」と言います。その言葉通り、細部に到達することで具体的な対策と指示ができるようになります。指示のほとんどは結果が出る前のものばかりです。結果が出てからでは遅いからです。因果関係を計算していない計画は計画ではないのです。

関連記事 逆算する意味と効果

2010年4月17日土曜日

欲しいというメリットの強さがないと売れない




いくら感情的になって「売りたい」と思ったところで、私たちは共同体で暮らしている。つまり相手の考え、行動があるので、相手が考えないようでは空転するばかりです。空転を熱心にやればやるほど、相手は不快に感じて目の前から去って行く。

「共同体で暮らしている」を強く意識していることが出発点なのです。外に対しても内に対しても同じです。お客さまを大事にすることが先だという理由の本質はそこにあります。裏を返せば内輪を大事にするとこにつながっています、顧客満足、従業員満足はコインの裏表なのです。

・必要だけど、欲しくない
・必要でないが、欲しい
・必要でもないし、欲しくもない
・必要だし、欲しい

この2×2のマトリクスを本質に置き換えてみると、次のようになります。

・必要だけど、欲しくない=買うデメリット
・必要でないが、欲しい=買わないデメリット
・必要でもないし、欲しくもない=買わないメリット、
・必要だし、欲しい=買うメリット

必要でもないし、欲しくもない、あるいは必要だけど、欲しくない商品やサービスからは買うメリットを見つけることができないので買わないメリットが強く働いています。

買わないメリットが強く働いているお客さまに、強くアプローチしても拒絶されてしまうのは努力不足ではなく、してはいけない努力なのです。

するべき努力は「欲しくなる」ようにする努力です。
その努力をするためには、やる気が必要ですが、やる気もマトリクスで判断できます、



・必要だけど、欲しくない=買うデメリット=やらん気(できるけどしたくない)
・必要でないが、欲しい=買わないデメリット=やる気(できないけれどしたい)
・必要でもないし、欲しくもない=買わないメリット=やれん気(できないし、したくない)
・必要だし、欲しい=買うメリット=やれる気(やれるし、したい)

共同体で暮らしていると冒頭に述べましたが、それは「恊働」「共働」も内包、含んでいます。
「恊働」とは、同じ目的のために、協力して働くこと。
「共働」とは、現象が互いに影響を及ぼし合うこと。

「恊働」「共働」と言うと、チームワークを連想しますが、ほとんどお客さまが含まれていないのではないでしょうか?むしろお客さまは対立関係にある敵として意識していないでしょうか、意識では対立しているにもかかわらず、給料はお客さまからいただいていると教えるアンビバレンツな指導が、どのように教育してもサービスをホスピタリティに押し上げない原因になっている会社が無数にあります。

モチベーションとお客さまのメリットは、現象が互いに影響を及ぼし合う「共働」関係にあります。であるなら同じ目的のために、協力して働く「恊働」なしに、必要だけど、欲しくない商品やサービスを必要だし、欲しい、あるいは必要でないが、欲しいに押し上げることはできないのです。

物事の道理としては分かっても、どうしていいのか分からない。分からないから考えない。分かる範囲でやるしかないというのは心情としては理解できても、結局は万人がチャレンジして辛酸をなめながら導き出した原理原則を度外視するとは、一から辛酸をなめながらやるということに他ならないのです。非効率であり、努力を成果で評価せず、苦労の度合いで評価する危険に立ち会うことにさえなります。

私たちが暮らす世界には2つの大きな側面があります。
・原理原則
・自由な創意工夫

原理原則は、先人の数えきれない努力から導き出された答えです。すでに答えがあるから余計なことに労力に使わず煩わされずに前に進めます。しかしそれだけでは競争には勝てません。お客さまに忘れられない、飽きられない、卒業されない存在になるためには差をつけ違いを出すには創意工夫が必要になります。しかし現実は原理原則を度外視した努力が混乱を\招いていることの方が多いようです。

「必要でもないし、欲しくもない」ものを、商品説明で「欲しい」に変えるのは困難です。「困難」の意味は、従業員にとっては、やる気を失う原因になります。お客さまにとっては、煩わしいことになります。ではどうすれば変えることができるのでしょうか?メリットの提案ですが、売る側の危険もそこにあります。提案するメリットがお客さまにとってメリットになっていないのです。自分たちが「メリット」と断定したことがお客さまのメリットにほど遠いのです。

「原理原則×自由な創意工夫」がうまく機能していないのです。機能しない原因はその時々の状況で違いますので、これがと言えません。
はっきり言えることは「必要でもないし、欲しくもない」を欲しいに変えるのは、商品やサービスによって違います。つまり商品に意味を与えるのは自分だということです。それが「原理原則×自由な創意工夫」を機能させるということです。

たとえば、フツー、車のタイヤの場合「必要だが、欲しくない」商品の\場合。それをフツーでないようにしないと「欲しい」には変わりません。打つ手のキーワードは2つあります。「必要」と「欲求」です。このルールを無視して商売はできません。
必要にこだわれば「安全性」です。こだわりの度合いが強い、つまりモチベーションが高いと「安全性」の徹底にこだわることができます。モチベーションが低いと徹底できません。
欲求にこだわれば「^欲しい^の強さを引き出す」です。どこまで引き出せるかは、こだわりの度合いが強い、つまりモチベーションが高いと「^欲しい^の強さを引き出す」の徹底にこだわることができます。モチベーションが低いと徹底できません。因果関係を計算して、恊働、共働をどう仕掛けるかが、マネジメント力です。

具体的に言うと、「必要」と「欲しい」の切り口で、次の2つの手が打てます。
・安全にこだわり抜いた点検をして、不完全なタイヤを交換する
・欲しいにこだわり、現在のタイヤよりファッション性の高いタイヤに交換する

どちらの場合も、成功がやりたい気持ちを高めるので、モチベーションが加速度的にアップします。業界を問わずに忙しいときが好きという従業員が大半です。売れることでモチベーションが高くなり、想像以上の販売実績をたたき出しています。

しかし難易度の高さに目を奪われて実行するところは少ないのが現実です。過去の実績と難易度の高さで計算したらやりたいと思わないのは当然です。しかし計算ミスなのです。

・欲しいと思わないと買わないという原理原則を無視していること
・原理原則を無視しているので創意工夫が機能することがない

ですから実際には逆転します。するから大量に売れます。やっているのは従業員ですから難易度が高ければ売れません。難易度を低くして意欲に変えて、お客さまが満足しているのは「欲しい」気持ちを満たしたからです。メリットが実感できるとモチベーションはあがります。誰も自分が大事にされたいのです。恊働、共働が機能するのが正しい仕組みなのです。

難易度の高低は、販売高やする内容で計るのではなく、道理に合っているか、いないかで計るのが正しいのです。販売高を抑えても道理に合っていないことをすると難易度は高くなります。

商売と戦争はまるで違うことですが、それが不思議なくらいにここでお話している成功と失敗北のモデルが、映画「二百三高地」と「八甲田山」で描かれています。共通しているのは、人間がしていることという点です。


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2010年4月8日木曜日

見込客を作るとは考える人を作ること。



忘れない、忘れさせないは、お客さまに対しても、社内に対しても、ビジネスの基本。人間は考えないことはできない生き物だからです。

4月3日にアメリカで販売開始されたアップル社の新製品「iPad」を買い求める光景には熱いものがありました。前夜から並んでいる人たち、手に入れた喜びを全身で表現している人、日本からもニューヨークへ弾丸で買いに行った人も多数いたようです。


アップルが販売決定を発表したのは2ヶ月前、数週間後にはネット上で予約受付を開始しましたので、前夜から並ぶ必要はないはずですが、「早く欲しい!」気持ちを愉しんでいたようです。

「iPad」はタブレット型のパソコン、見た目は、同社のヒット商品「iPhone」をA4サイズに大きくした商品ですが、”アップル”のブランド力が発表と同時に決定的に「タブレット型パソコン」とも「iPhone」とも違うことを伝えていました。さまざまな憶測が世界中に広がりました。もともとアップル社はあまり情報を流さない会社ですので、想像力をかきたてます。顧客はわずかな情報を熱心に探しまわります。

販売前日、店舗では準備開始とともに、店内は黒いカーテンで覆われ待ちわびる顧客の興奮は高まる一方、その光景はTwitter、ブログ、YouTubeを通じてリアルタイムで世界に配信されました。顧客自身が発信する情報には「口コミ」のプロセスのすべてが発見できます。商品の憶測から、手に入れた商品のパッケージの開封〜同梱品の紹介、さらには買った商品を即座に解体してパーツのひとつひとつの紹介、まるで広報担当は顧客の役割のようです。情報を受信する「見込客」の想像もどんどんふくらみ、興奮は高まります。

さて、iPadの興奮には「売る」ということ、「買う」ということの究極の答えがあります。
なぜ、開店前から並ぶのか、「早く欲しい!」からです。

「欲しい」は「買いたい」の前提条件です。欲しい物が売られていないとプレミア価格になります。だからキン肉マンの消しゴムは一個が数万円しています。
キン肉マンの消しゴムは決して必要な物ではありませんが、「欲しい」と共に「必要」も「買いたい」の前提条件です。

 ところで、必要は英語でNEEDといいます。欲しいはWANTです。日本語でも英語でも別の言葉です。つまり意味が違うということです。どれだけ売れるかは、必要とする人の数、欲しい人の数で変わって来ます。そこでメーカーは、必要とするもの、欲しがるものを作ろうとします。小売業はすでにあるものを仕入れて売りますが、どう扱うか小売のセンスとスキルがモノを言います。

必要なのだ、欲しいのだ、と言っている人をよく観察してみると、いろいろあることが分かります。

・必要だけど、欲しくない
・欲しいけれど必要でない
・必要でもないし、欲しくもない
・必要だし、欲しい

必要にして、欲しいものを買った人は手に入れたこと満足します。
一方、必要でも欲しくもないものを買った人は仕方なしに買ったので、損した気分になることがあります。ムダ遣いをする人とは、必要でもないし欲しくもないものを買う人、欲しいけれど必要でないものを買う人のことです。

こんな会話をよく耳にします。
「この前、こんなことがあって仕方なしに買ったんだ、損してしまったよ」
「そうは言っても仕方ないよ。必要なんだから」
「そうだよな」

 必要だけど、欲しくない商品の代表が「保険」「葬式」「ガソリン」「電気」「修理全般」「車検などルールで決められたもの」です。
必要だけど、欲しくない商品を取り扱っている方は「エーッ!それでは売れなくても仕方がないだろう」と思うのは当然です。でも慌てないでください。よく考えて見ましょう。

固定電話は昭和初期には欲しい商品だったはずです。高値の花でした。洗濯機、冷蔵庫、クーラーも欲しい商品でした。手に入れるために一生懸命に働いたのは東京オリンピックの頃です。ところがいまでは「必要な商品」に変わりました。電話は固定を携帯に変えることで、必要な商品から欲しい商品に大ブレイクしました。iPod、iPhone,iPadも、欲しいから必要に一旦変わったものを、もう一度欲しいものに変えたことで大ブレイクさせたものばかりです。

つまり、同じものを売っている小売業で、業績が違うのは、欲しくさせる力が違うわけです。そこで、どうしたらいいのかを考えるために、現実を整理してみましょう。必要と欲求の関係は次の4つがあります。

・必要だけど、欲しくない
・欲しいけれど必要でない
・必要でもないし、欲しくもない
・必要だし、欲しい

「必要」と「欲しい」の関係を2×2のマトリクスを使って整理すると、次のようになります。



同じものを売っている小売業で、業績が違うのは、左下のお客さまを右上にステップアップさせる力が違うのです。

では、どうしたらできるのでしょうか?
「安くする?」・・・・それも条件として有効になるかも知れませんが、そうでないかも知れません。価格を考えるよりも先に、もっと考えないといけない「重要なこと」があります。

次のうち、人が考えることの多い順番はどうでしょう?並べ替えて見てください。

・必要だけど、欲しくない
・欲しいけれど必要でない
・必要でもないし、欲しくもない
・必要だし、欲しい

人は考えないことはできません。欲しいということは考えるということです。欲しくないとは考えていないということです。つまり見込客を作るとは、考える人を作るということです。

欲しくないとは考えない。つまり考えるから欲しくなるのです。欲しくない人は考えないので情報が不足しています。欲しくなってもらうには情報量が必要なのです。量が不足するなら力のある情報が必要なのです。

 

iPadは情報量が多くはありませんが、情報力があるので、不足する情報量を顧客が自主的に集めて回っています。iPadを入手するために並んだ人たちは、販売するという最初の情報に接した日から毎日、毎日、考え続けていたのです。

ここから学ぶことには、とても大きなことがあります。


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